私は、父が大好きだった。かっこよくて、優しくて、面白くて、いつも私の事を愛しそうに見てくれる顔を思い出す。
小さい頃は、父の仕事の都合で、年に2度ほどしか会えなかった。毎回、父と別れた夜は、父の匂いがついた枕を抱きしめて「お父さん〜お父さん〜」と、寝るまで泣いていた事を思い出す。
父は、12年前に亡くなった。その時、私は洗礼を受けて3ヶ月がたった頃だった。福音の大切さが、まだそれほど理解できていなかった。
でも、何か伝えなければ!と思っていたんだろう。寝たきりになった父と2人きりになると賛美歌を歌い、息を引き取る瞬間には大声で「お父さん!イエスさまのところに行くんやで!迷ったらあかんで!」と叫び、神さまに祈った。
それがその時の私の精一杯だった。声と祈りが届いて、もしかしたら天で会えるかもしれない…と期待している。
でも、後悔もしている。しっかりと福音を伝えるべきだったと。そうすれば、会えるかもしれないという期待ではなく、会えるんだ!という確信が持てたのに…と。
最近、老人施設にチームで賛美を歌いに出かけている。その日、神さまから愛されていますよ…というメッセージから、一歩踏み出し福音を伝えた。
福音とは、イエスキリストが私の罪の贖いの為、十字架にかかり死んでくださり、墓に葬られ、3日後に死を打ち破り復活された事だ。それを信じる者は、救いの恵みが与えられる。
これまで、初めて聞く方には難しいのでは?とか、宗教だ…と出入り禁止になるのでは?と、控えめにしていた。それが『寄り添う』という事だと、言い訳していた。どんな反応が来るのか怖かった。
でも、帰り際、1人の老人が「よく頑張った!よく頑張った!!」と、私の腕をポンポンして、褒めてくれた。まるで、父が、私に言ってくれてるようだった。家につくと、枕を抱いて泣いていたあの頃ように、父を思い大泣きしてしまった。
神さま、私には大切な人がたくさんいます。その一人一人に福音を伝えられますように…。聞いた方々が、あなたの救いの恵みを受けとり、天国で一緒に笑い合える日が、期待から確信へと変わりますように!愛するイエスさまの、御名によってお祈りします。アーメン。 〈hiro〉
『私は福音を恥としません。福音は、ユダヤ人をはじめギリシア人にも、信じるすべての人に救いをもたらす神の力です。』ローマ人への手紙1:16